緊急支援、その後の報告

2011年1月

 昨年8月初めにルンブール谷で起こった鉄砲水によって川底が上がり、川の流れも変わってしまいました。

 

 もし今度同じ規模の鉄砲水が起こると、狭いV字谷を走る川の近くに立つバラングル村や、その上流にある水力発電所が直撃されて流される可能性がきわめて高くなっています。

 

 起こる可能性のある大被害を食い止める唯一の方法は「堤防の建設」しかありません。その堤防工事は水量が少なくなる秋から春の間に仕上げなければなりません。冬の雪が降る間はもちろん作業はできないので、作業ができる期間は限られています。ほんとうは日本政府の草の根援助を申請したかったのですが、審査の期間が長くて認可が降りても、着工は1年後となります。その前に鉄砲水が来るかもしれないことを考えると、一刻も早く対処しなければと、8月末に、日本やヨーロッパのみなさまに緊急支援を呼びかけました。

 

  日本の支援者の方々の素早い反応で、呼び掛けて1週間ほどで90万強ルピーもの義援金が集まりました。その義援金を第1回目の緊急支援プロジェクトとして、バラングル村の上流部と下流部の2カ所と、水力発電所専用の水路の取水口に堤防を建設することになりました。(詳細は昨年9月24日のブログを参照してください。)

 

 私は10月初旬に帰省することになり、私たちのNGOの現地責任者のサイフラーさんに堤防建設工事を任せてルンブール谷を後にしました。10月半ばに帰国してからは、父の自宅介護、逝去、葬儀、その後の諸々の用事、母のケア(ただ一緒にいるだけですが)などで、ブログの更新をする間もなく年を迎えてしまいました。「堤防工事の件は追ってブログで報告する」と10月にブログで広言して、ずっと気になっていましたが、そのままになってしまったことを心からおわび申し上げます。

 

 サイフラーさんからは10月、11月、12月と毎月1、2回、チトラールから電話が入ってきています。彼の報告では、第1回目の緊急支援プロジェクトの3カ所の堤防建設は、無事予定通り、雪が降る前の11月後半に完成したとのことです。

 

第2回目の緊急支援プロジェクト

 昨年9月以降もNGOウジャマー・ジャパンさん、その他支援者の方々から義援金が寄せられ、12月末までの額が42万ルピー(42万円)となりました。また、1980年代に民族学者夫婦と組んで、ルンブール谷に長期滞在してらしたフランスの写真家のエルベ氏のNGOからも23万弱ルピー(2千ユーロ)の義援金が送られました。これを合わせると65万ルピーになります。

 

 第2回目の緊急支援プロジェクトとして是が非とも行わねばならない工事は、水力発電所を守る堤防建設とその対岸の護岸工事です。その見積もり費用は70万から110万ルピーなので、その額には少し不足します。そこで会計の静江さんと相談して、「AKIKOの家」での活動資金(村での教育・医療支援金も含む)から20万ルピーを緊急支援金にまわすことにしました。これで合計およそ85万ルピーとなり、第2回目のプロジェクトを履行することができると思います。

 

 これらの義援金は昨年11月末にルンブール入りをし、現在もバラングル村に滞在中の、ルンブール福祉文化開発組合・新潟支局の笹川さんが、サイフラーさんと共に私たちのNGOの銀行口座に入金しました。一部の義援金は本日、1月3日にパキスタンに向かい、数日後にルンブールに到着予定の静江さんに委ねられました。笹川さんと静江さんは1月いっぱい村に滞在しますので、第1回緊急支援金で建設された堤防をきちんと点検してくれるものと思います。

 

 予定としては、なるべく早くの初春の3月から2期工事を始めるつもりです。暖かくなって山からの雪どけ水の量が増えてくる前には完成させねばなりません。

 こういった事情により、支援者のみなさまに毎年送らせてもらっている「会計報告」と「活動便り」は、静江さんと笹川さんの2人が2月に帰国してから作成することになりましたので、少し遅れますことをご了承願います。

 

 最後になりましたが、バラングル村と水力発電所を守るために、手を差し伸べてくださったみなさま、ほんとうにありがとうございました。