玄海原発再稼働。停止の申し入れ

2011年11月

 「暴走する原発ーチェルノブイリから福島へ これから起こる本当のこと」の中で、著者広河隆一氏は以下のように言っている。

 

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 チェルノブイリ原発4号炉から4キロ離れたプリピャチ市はかって5万人住んでいたが、現在は「死の街」と呼ばれ、居住は禁止され廃墟となっている。そこで測った値は平均的に毎時3~4マイクロシーベルトであった。4月19日付で文部化学省が出した福島県内の学校の校庭利用寺の放射線量基準値は、毎時3.8マイクロシーベルト、これは死の街プリピャチの数値と同じである。

 

 福島の子供たちの年間被曝量の基準値20ミリシーベルトという値は、チェルノブイリ事故の後の1991年にウクライナ議会が可決した法律「汚染地域の定義」で、「無条件に住民避難が必要な地域」とされた個人の年間被曝量5ミリシーベルトの実に4倍。この値に私は自分の間違いではないかと、何度も数値を見直してみた。さらには専門家にも電話で確かめ、私の計算を伝えてみたが、残念ながら私の悪い憶測が間違っていないことを知った。

 

 皆さんは、この死の街プリピャチ市の中を走り回る日本の生徒たちの姿をどのような思いで見られるだろうか。また、廃墟になった村の学校に日本の子供たちがランドセルを背負って通う姿や生活する姿を想像できるだろうか。

 

 福島原発事故3日後に現場から撤退したいと政府に告げた東京電力、今回の子供の放射線基準値の決定を行った原子力安全委員会、文科省、そして自社の記者を40~50キロメートル以内に立ち入ることを禁止したマスメディアは、「ただちに健康に影響が出ない」と言い続けたが、彼らはプリピャチしと同じ値で汚染された学校に、自分たちの子どもを通わせることができるというのだろうか。プリピャチ市はおろか、チェリノブイリ原発の30キロ県内は、事故から25年たった今も、特別な許可証がない限り立ち入れないし、18歳未満の子どもや青少年は立ち入りを禁止されている。

 

 日本の電力会社、学者、政府、マスメディアはチェルノブイリから学ばないばかりか、逆に旧ソ連よりもひどい状態に突き進んでいっているのではないだろうか。日本は人間の命よりも原子力産業を守ろうとしているように見える。チェリノブイリ事故で旧ソ連という国家が下したよりもはるかにひどい判断を行っていることは間違いない。日本という国は、旧ソ連よりも、はるかにひどい人件無視国家なのだろうか。

 

 この進行中の大事故のさなかでさえ、日本の原発をすべて止めて、安全策の再検討をすることさえできないこの国の政府、政府や企業の言い分を垂れ流すテレビを中心とするマスメディア、安全発言を後押しする発言を繰り返す学者たちに対して、なぜ怒りを持たず、あきらめる人々がこれほど多いのだろうか。

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佐賀県庁で申し入れをする。杉野さん(左)と吉田さん。右のお2人は県の原子力安全対策課の方。
佐賀県庁で申し入れをする。杉野さん(左)と吉田さん。右のお2人は県の原子力安全対策課の方。

 上の本を読んでいるときに、「九州電力 玄海原発4号機を運転再開」というニュースが入った。補修作業の手順ミスにより10月4日に自動停止した玄海原発4号機が、住民への十分な説明がないまま11月1日に再稼働した。福島原発事故で格納庫の内部に何が起こっているのかわからず、放射能汚染問題を含めて、次から次へと問題が起こっていて収拾がつかない最中に、よくもまあ九電はこんな無茶なことをやれるなと驚いた。

 

 これに対して、「玄海原発プルサーマルの会」が全国150団体の連名で、九電や佐賀県、玄海町に対して抗議活動を展開し、また玄海原発対策住民会議や共産党唐津市議団、新日本婦人の会佐賀県本部も抗議文や要望書を提出した。と3日の佐賀新聞の記事にあったものの、まわりの空気は相変わらず、他人事的なのんきムードだった。

 

 4日の朝、以前から玄海原発のプルサーマル反対運動をしていた高校の同級生の杉野ちせ子ちゃんから電話があり、彼女が代表する「お休み!玄海原発2号機3号機の会」が、午後に佐賀県庁と九電に再稼働の中止を申し入れに行くと言うので、その日は母の付き添いで佐賀医大とかかりつけのクリニックに行く予定があったが、うまいこと1時ごろには母を連れて家に戻れたので、急いで昼ご飯をかき込んで、自転車で佐賀県庁に行った。

 

 もう少し人が集まっていると思っていたが、ちせちゃんの会は小規模なので、私も含めて5人だけだった。それでも同じくらいの数の、サガテレビ、佐賀新聞など報道関係者が取材に来ていた。

 

 ちせちゃんは、「10月4日の4号機の自動停止は謝った作業手順書が原因とあるが、これは手順書の謝りに気づく知識や経験、技術力を持っていないことを示している。万が一福島原発のように全電源が喪失するような事故が起こった場合、九州電力の現在の技術力では事故が無事に収束するとは考えられない。また再稼働について、地元の了解も佐賀県議会の意見も求めていない。県民の安全を第一に考えるなら、少なくとも福島の事故原因が究明され、玄海原発の安全評価が終了するまでは原発を停止するべきだ」という申し入れを行った。

 

 県知事のやらせメール問題で県民からの信用が地に落ちているにもかかわらず、佐賀県庁の原子力安全対策課の担当者は、「今回再稼働する際、なぜ九電のなすままにしたのか」などの質問に、「国がおおむね妥当と言ったから」と言い、「おおむねということは、100%ではないということではないか」と突っ込まれても、のらりくらりと拉致があかず、「上に伝えておきます」ばかり。

 

 しかもこの申し入れで提示された場所は県庁の1階ホールの片隅で立って行われた。人が通行しているのはまだいいとして、近くのエレベーターから出入り口までを、カートで荷物を運ぶ業者がガラガラとすごい音を立てて行き来するものだから、途中でお互い何を言っているのか聞き取れなくなったりして、県側の対応にも疑問を持った。

 

 3時からは九電佐賀支社に行って、上の申し入れを行った。こちらは会議室を用意してくれていて、わりあい丁寧に質問に答えているように思われたが、逆にこういった抗議に対して慣れているからかも知れない。