佐賀に帰省してから3回講演を行いました。

2014年6月21日

 5月に佐賀県高校文化連盟・新聞部研修会での講演を依頼され、担当の先生がつけて下さったタイトルは「ジャーナリズム魂」というもの。佐賀県の高校の新聞部に所属している生徒とその顧問の先生たちに話をしました。

 

 内容は、カラーシャの画像、現地での活動の写真もお見せしましたが、ジャーナリズムについては、

1)世の中には多種多様の人が、多種多様の生活、文化、宗教、考え方を持って暮らしている。これらの多種多様の人たちの声を汲み上げて、他の多数派を含めた多種多様の人たちに知らせること、多数派あるいは権力やお金を持っている側にはおのずとすでに力があるのですから、そういうことも考慮して、声を上げれない、力の弱い、多様な少数の声を丁寧に汲み上げることで世の中のバランスがとれる。ジャーナリズの根幹は弱い側の味方でなければならない。権力の広報機関になってはならない。

 

 2)これまで旅をしてきて、どこの国でも普通の庶民からは親切にしてもらった。特に少数派の人たちの印象がよかった。例えば、ヒンドゥー教の国インドではムスリムの人たちがやさしかった。逆にムスリムの国パキスタンではムスリムの人がクリスチャンやヒンドゥー教徒に対して威張り弾圧している。少数派は謙虚で、困っている人の気持を理解しようとしてくれるのに、多数派は奢り高ぶり、自分のことしか考えないという人間の性(さが)がどこにもある。

 

 ということをお話したわけですが、50人ぐらいという参加者が半分ほどに減り、画像を見せるスクリーンが会場(佐賀新聞社の大会議室)のわりに小さかったりして、ちょっと「ジャーナリズム魂」というタイトルに負けたかなという感がしないでもありませんでした。講演の後に、参加した高校生と雑談したら、男子生徒から「今まで行った中でどの国の食べ物がおいしかった?」と、普通のかわゆい質問をされて、「なあんだ、新聞部の高校生だから、意識も高く大人と同じだと思っていたけど、やっぱ子供なんだな」と笑ってしまいました。

 

 その質問に、「ま、タイなどの東南アジアが種類も多いし、日本人には合っているかな。でも一番おいしいのはお母さんが作ってくれるごはんだよ。ファスト・フードのハンバーガーなんて何が混ざっているかわからないから、あんまり食べちゃだめよ。おふくろの味が安全で一番」と答えました。でも後でよく考えると、最近のお母さんは働いてる方が多いので、案外ごはん作ってないかもしれない。もし生徒たちが母さんから作ってもらってなかったら逆に傷ついたのではないか、と混乱気味になりました。高校生に話をするって、けっこう気を使うものだとつくづく思いました。

「みんなの大学」での講演

 6月には、佐賀大学教養教育学部の中で開かれている「みんなの大学」に参加されている方々に、「パキスタン・カラーシャ族から見える日本」というタイトルで2回、話をさせていただきました。こちらの方々は年代もぐっと上がり、パッと見たところ私より先輩の方が多く、教室の席がほとんどいっぱいになるほど、およそ50人ぐらい参加されされました。

 

 はじめにパキスタンとカラーシャについて、写真をお見せしながら説明し、現地で行っている活動、日本政府の草の根援助で取り組んだ「水力発電所プロジェクト」や「AKIKOの家」での活動について説明しました。

 

 以前からやっている教育促進の活動が功を奏し、今ではカラーシャの子供たちの大半が学校に行くようになり、その中から大学に行く若者も出てきている。しかし、高学歴を受けた若者は、パキスタンの悪い制度や習慣(賄賂・汚職など)も身につけて、自分の儲けのために、カラーシャ全体の名がつくプロジェクトをやるようになっている。日本政府の草の根援助もそういったプロジェクトにお金をだしている。昨年、土石流で流されてしまったカラーシャ小学校の再建、雨が降るとすぐ壊れてしまうジープ道路や橋など、最優先すべき公共事業はいつも後回しになっている。

 

 一時帰国で今、佐賀にいますが、何だか日本がどんどんきな臭くなってきていて、平和憲法を持つ日本が持つ必要のない集団的自衛権の行使を、安倍政権は認めさせようとしている。そうなると日本は戦争をする国になってしまう。アメリカは無人機攻撃を、昨年2013年までに330回も行い、アルカイダを含めた死者2200人のうち一般市民が400人にものぼっている。(今はもっと増えている)パキスタン国内では反米ムードが増加するばかりで、集団的自衛権なんか行使されると、必ずアメリカと一緒に戦争するようになる。

 

 そうなったらものすごく困る。今でさえ自分の家がアフガン国境近くにあることで、タリバンなどの武装勢力から狙われる可能性がなきにしもあらずで、夏の間は現地に戻れずにいるという状況なのに、もし日本の自衛隊がアメリカの助っ人としてアフガニスタンで武力行使をするようになったら、もう冬でさえ戻れなくなる。私の生活基盤を根こそぎ剥がれることと同じ。

 

 というような話をしました。

 

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コメント: 2
  • #1

    NATCO (水曜日, 02 7月 2014 06:10)

    わださん。今回の集団的自衛権の話はもうちょっと勉強して発言して下さいね。
    戦力投射能力の無い自衛隊では参加してもせいぜい給油、掃海程度ですよ。
    タリバンは海軍や空軍を持っていませんね。
    その時に集団的自衛権が行使できるということですよ、つまり自衛隊と交戦する機会が無いので今までと変わりません。

  • #2

    わだ 晶子 (木曜日, 14 8月 2014 16:26)

    今の政権は戦力投影力のない自衛隊を、ある方に変えようとしているんではないですか?アメリカから助っ人を頼まれると、給油程度では済まないでしょう。ヨーロッパの多国籍軍は2001年911の後、アメリカとの集団的自衛権のもとでタリバンと戦いを始めました。