やっぱりPIA(パキスタン航空)は好かん。

11/28

 朝、起きて窓の外を見たら雲がいっぱい。ルンブール谷のヤシールから電話があって、向こうは少し雨が降っているという。ボンボレット谷のカラーシャ兄弟たちにも電話したけど、やはり雪まじりの雨が降っていると言う。しかし、PIAはわざわざ私の携帯電話に「今日のチトラール行きのフライトは飛びますよ。良い旅を」と前向きのメッセージを送ってきた(これまでなかったことだ)。

 ほんとうに飛ぶのだろうかと思いながらも、PIAが飛ぶというので、価格が規定されていて信用でき、車内もきれいなハイヤーで空港に行った。(タクシーだと、メトロバス工事やガソリン代暴騰などの理由をこじつけぼられてハイヤーより高くつく)空港でのチェックインも終え、待ち合い室で待つこと1時間。

 その間もカラーシャ谷から電話が入るのだが、天気は悪くなっているという。だいたい、チトラール地方で朝方天気が悪かったら、その日回復することは非常にまれなのだ。今日のフライト時刻は午後1時近くだから、早朝にチトラールで雨が降っていれば、昼すぎにはさらに天気は悪くなるだろうから、今日は欠航だという決断をどうして早めに下せないのだ。

 いつもはちょっと風が吹いても、雲があっても、何の理由がなくてもすぐにフライトを欠航させるのに、今日は乗客に無駄な期待を持たせ、ハイヤー代1000ルピーをどぶに捨てらせて、空港まで呼び込んだ。出発時刻の少し前にようやく、ウルドゥー語と英語でたった1回、欠航のアナウンスがあった。以前欠航のときは、PIAスタッフが待ち合い室をまわって、「チトラール行きの乗客はいませんか?欠航になりましたから、荷物を受け取って、こうしなさい、ああしなさい」と教えてくれていたのに、今日はそんなこともない。

 私の方からPIAのユニフォームを着た男性を探して、「私のフライトが欠航になったけど、どうしたらいいの?」ときいたら、元きた経路を戻って、国内線到着に行って、自分の荷物を受け取りなさい」と教えてくれた。その通りにして、国内線到着の荷物受け取り場に行こうとすると、入口で警備員に止められた。「フライトが欠航になったので、自分の荷物を取りに行くんですよ」と言ったら、「手に持っている荷物は持って入れない」と言われた。

 手に持っている荷物というのは、先日購入したキラン図書室用の本と、ヘルガさんからいただいた野菜と豆の袋なので、警備員が座っている椅子の隣りの空いた椅子に置こうとしたら、ここには置くなと言うのだ。「じゃあ、どこに置くのよ」と言うと、「外に置け」という。まあ、外に置いてすぐ盗まれるようなことはないとは思うが、しかし、この警備員、なんちゅう態度だ!と怒った私の血圧は上昇し、近くをうろついているPIAスタッフに抗議。結局そのスタッフが私の荷物タッグを持って中に入って、荷物を取ってきてくれて解決はしたものの、相変わらずのPIAのサービスの悪さに、腹が立ちまくった。

 最後のとどめは、今回イスラマバードで世話になったヘルガさんから「チトラール到着おめでとう」の電話が夕方かかってきた。インターネットでのPIAフライト情報では、「今日のチトラール行きの飛行機は無事に着陸した」とあったそうだ。「何冗談を!私はまだイスラマバードにいるよ」と言ったら、さすがにヘルガさんもあんぐりと開いた口が閉まらない様子だった。「いつになるかわからないけど、無事にチトラールに着くよう祈ってるよ」とヘルガさん。


11月29日

●ペシャワールへ

 ということで、再びイスラマバードに戻るはめになったが、うまいぐあいに、ニサールさんの弟さんがイスラマバードからペシャワールの家に帰るというので、夕方まで彼を待って同行することにした。理由の一つは、彼らの高齢のご両親がいつも「アキコはどこにいるのだ?日本か?チトラールか?」と訊いているというので、会えるときに会っておこうと思ったからだ。ペシャワールに夜の10時半について、ご両親に対面できたが、話にきいていたよりは弱ってらっしゃらず、ほっと安心する。


 しかし、肝心な自分のことを考えると、ううむ、決断しにくい状況である。ペシャワールからチトラール行きのフライトは週に1便、昨日欠航になった便(イスラマバードーペシャワールーチトラール)だけで、次の便は来週の金曜日まで待たねばならない。それでも確実に飛ぶとわかっていれば待ってもいいのだが、1週間待った挙句にまた欠航になったら、冬に向かって状況は悪くなる一方だ。

 多分陸路で行くことになるだろうと思いながらも、ラワリ峠は雪になっていて、車の峠越えが困難になっているという。現在外国人はNOCという許可証を入手しない限り、陸路を通ることは禁止されている。IDカードを持っていて、チトラール地域に住んでいる私の場合はその許可証は不要なはずだが、途中に待機する警官たちは、それを理解せずに、足止めを食うのはこれまでの経験でわかっている。故に陸路を通れる書類か、NOCを発行してもらわないといけないだろう。と、何にしてもさっさとはいかない。ハードルは高い。


 ほんとうに、「どうして昨日、チトラールの天気を悪くしたんですか」と天の神様に文句言いたくなるのう。