今年は戌年なんですね。This year is the year of the dog .

そしたらうちのタローの出番だったのに、うっかり年賀挨拶に登場させるのを忘れていました。

This year is the year of the dog so I was thinking to put my dog, Taroh, on the new year greeting but had forgotten.

 タローは去年の6月2日に、うちの前の庭の古い木材を積んであるその下で、野良ちゃんメス犬が6匹の子犬を生んだ中で一番頭や手足が大きかったオス犬だったので、番犬として育てることにしたのです。

 地元の人たちに言わせれば、「いい番犬にするには24時間つなぎっぱなしにしなきゃならない」らしいが、タローの兄妹や他のノラちゃんはエサ探しで大変ではあろうが、自由に目の前をうろついている。タローだけつなぎっぱなしというのはどうしてもかわいそうに思う。

 

 それで、昼間は階段下につなぎ、途中散歩させるか、数時間放して自由行動を取らせ、夜は図書室の上に当たる2階のベランダに放すというパターンをとっている。一昨年にAKIKOの家全体をトタン屋根で覆ったのが功を奏し、雨漏りはしないし、図書室の屋根には土があるからウンチをしても掃除しやすい。何と言っても夜間、私がベランダの端にあるトイレに行く時にタローがいると安心するのだ。  

 2階のベランダは半分オープンなので、その気になれば登るのは簡単、裏からも入れる。時々、ベランダに子供がひょっこり立ってたりして私を驚かす。「あんた、何してるの。勝手に入って来て」と怒ると、子供は「クリケット遊びのボールを探してるんだよ」と悪びれず言うのだ。子供が登れるんだったら、泥棒あるいは賊は簡単に入ってこれるということだ。ということで、夜間タローがいるだけで心強い。一応番犬の役割を果たしているのです。

 

 2月2日に満8ヶ月になり、タローの体は随分大きくなったけど、頭は小さい頃と逆行して大きくならず、それ故か頭脳もいまいち良くない。3月半ばから私が一時帰国のために留守をする間、タローをどうしようかとずっと考えていた。タローも慣れている最も近い親戚に世話を頼むしかないだろうか。

 

 しかし、その家には幼児がいて、タローが勢い込んで走ってくると、足がヒョロヒョロのその坊やは転びそうで、見てるとハラハラする。タロー自身まだ子供なので(まだ足を上げておしっこをしない)、すぐにじゃれて甘噛みする。それを知らない人や子供は噛まれると思い余計に怖がる。するとタローも興奮してさらに飛びついていくのだ。密接している近所の親戚のどの家にもよちよち歩きの小さい子供がいるから、なんかの拍子でタローが噛んで怪我をさせる可能性があるわけで、私としても心配なのだ。

 

 そこで、私が留守の間、山羊の番犬として山羊小屋で住まわせるのはどうだろうと思いついた。元来、カラーシャの犬は山羊の番犬として飼われ、家犬はほとんどいない。山羊小屋でカラーシャ犬の役割を果たしてくれたら、私も嬉しい。ただ、家犬として飼っているタローが、即、山羊小屋に慣れるのは難しいだろうと、1月の後半から少しずつ慣らすために、初めの2日間は20~30分ほど上流にある冬の山羊小屋の手前までタローについて行き(冬場は女性は山羊小屋には立ち入り禁止なので手前まで)、その後は途中の河原まで、その後は道路から河原に降りるところまでと、徐々に独り立ちさせ、今では、山羊の世話をしているダジャリにすっかり慣れてじゃれ付いて山羊小屋へ行っている。

 

 「タローはちゃんと山羊の番をしてるの?」とダジャリに聞いたら、「山羊がタローを追っかけている」とのこと。まだまだ牧童犬にはなりきっていないタローである。

 

 ところで、カラーシャは飼い犬にするときはまだ小さい頃に耳を切る習慣があるから、「タローの耳を切れ、切れ」と言われて来たが、「神様が必要だからくれたものを、人間がわざわざ切るのは良くない」とひたすら拒否している。だからタローはノラちゃん同様、両耳ある。

 

 耳を切るのは、メス犬を巡ってオス犬同士が命がけの闘いをするとき、よく耳を噛まれるからだろう。しかしタローの前に飼っていたデカチビは耳は切っていたが、数年前のオス同士の戦いで、耳がない代わりに目を狙われて丹下左膳になってしまった。

 その無くした目の下を去年、喧嘩で噛まれてちょっと怪我したのが痒いのか、自分の手でゴリゴリやってるうちに化膿し、ハエが集り、どんどん酷くなり、しまいに顔の半分がこそげ落ちるまでになり、私が帰国していた間に死んでしまったのだ。だから耳を切っても大して意味がないということがわかっている。タローが成犬になって、オス同士の闘いをするようになったら、果たして耳がどうなるか。無様に噛みちぎられないよう願うばかりです。