教会を狙ったテロと大地震

2013年9月

 9月23日に福岡空港を飛び立ち深夜にバンコクに着きました。飛行機の中で、2つのパキスタン関係のニュースを見ました。

 タリバンの一派がペシャワールの教会で、死者81人、負傷者110人という犠牲者を出す、少数派のキリスト教徒を標的にしたテロとしては史上最悪の自爆テロを起こしたというニュース。もう一つは南西部のバルチスタン州でマグニチュード7.7の大地震が起こったというニュースで、どちらも心が痛むものです。

 

 特にタリバンの非ムスリムの少数派に対するむごいテロは、これからパキスタンに向かう、キリスト教徒よりさらに少数派のカラーシャと関わる者からすれば、他人事とは思えず涙が出るほど悲しいものでした。「アメリカ軍の無人機による殺戮がパキスタンからなくならない限り、今後も非ムスリムへのテロは続ける」とタリバンは犯行声明時にこう語りました。

 

 これまで多くの一般人が犠牲になっているアメリカ軍の無人機攻撃は、確かに絶対に行われてはいけないものです。しかしだからといって、その報復にどうしてパキスタンではマイノリティで力のない非イスラム教徒をテロ攻撃しなくてはならないのでしょうか?アメリカへの腹いせをどうして、自国の立場の弱い少数派の人々に向けなければならないのでしょうか。

 

 それに、パキスタンは原発を3基も持っていて、それはカラチの近くにあるとききます。今回の地震でカラチもずいぶん揺れて、海には島までできたというほどですから、原発やミサイル基地のことも心配になります。

 

 福島第一原発事故の根本問題を解決するどころか、これまでずっと汚染水を太平洋にたれ流ししてきた事実を、オリンピックのばか騒ぎで蓋をして、「完全にコントロールされている」と平気な顔して嘘をつく人が国の長である日本に、いささか嫌気がさして旅立ったはいいけれど、向かうパキスタンも問題だらけ。ほんとうに21世紀の地球はどうなってしまったんでしょうかね。

 

情報センターの前に立つシェル・ワヒード(左)と弟のシャキール・カーン
情報センターの前に立つシェル・ワヒード(左)と弟のシャキール・カーン

 そういう中、チトラールからきたFacebookのメッセージがほのぼのと気持を和らげてくれます。チトラールで観光局インフォメーション・センターで働いているワヒードが、1週間ぐらい前にFacebookで友達リクエストをしてきたので承認したら、ちょくちょくメッセージをよこしてくれるのです。彼のメッセージは「週末の休みで、これからバラングル村に帰ります。」とか、「娘は1歳9ヶ月になり、あちこち歩きまわっている。もう母乳は飲んでないよ」、「ダジャリが夏の山羊放牧場から戻り、ザルマスが今放牧場に行っているよ」など、すごく個人的な話を、少しへんちくりんな英語とカラーシャ語混じりで教えてくれるのです。昨日のメッセージではルンブールの道路は直っているということでした。

 

道路が通じているのなら、早くルンブール谷に戻らないとと、タイからラオスに入ってのんびりしようと思っていたのを、少しばかり早めて、10月16日バンコクからイスラマバードに飛ぶことにしました。結局、「2度と乗るまい」と乗るたびに決意しているパキスタン航空の切符を、値段の関係で買うはめになりました。

 

少し、バンコクの滞在証拠画像をアップしておきます。