KP州の地方選挙/ Local election in KPK

 3月31日(木)に地方選挙がルンブール谷でも行われた。

 私は3・11福島原発事故以降ようやく日本の政治に関心を持つようになったが、賄賂と不正が渦巻くパキスタンの政治についてはほとんど興味がない。この地方選、ルンブール谷では、下域チトラール地方の首長、ルンブール谷の首町、ルンブール谷のカラーシャ議席、同じく女性議席、同じく青年議席、など6議席を選ぶ選挙だった。日本と違って、こちらではもう年明けの頃から、男たちが集まればこの選挙の話で盛り上がっていた。でも、こちらの候補者は政策などないし、投票する側もそういうことを問わない。ただただ、親戚だからとか知り合いだからとか、お金をもらったり、候補者から「当選した月給取りの職を与える」と言われて支持者になったり、そういう世界だ。

 

 ルンブール谷の首長には、私がチトラールに行く時にいつも乗っているオンボロランドクルーザーの所有者で運転手のサラワット、グロム村のSu。谷奥のヌーリスタン人、グジュール人が立候補した。だいたい、当然と言えば当然だが、教員、警官などの国家・地方公務員は立候補できない。だからはそれ以外となると、ウルドゥー語も話せず、読み書きもできない村人たちが立候補することになる。

 

 投票結果は、谷の首長の席はグロム村のSuが取り、サラワットは破れ2番目だった。サラワットは社交的でみんなに親切だから、首長になっても良しと思っていたが、実際に首長になったSuは、山林局の役人に賄賂を渡して偽書類を作って伐採した丸太を裏で売り払い、違法の山林伐採で儲けて懐を肥やしている人物だ。このSuをサポートしているのがルンブール出身の州議員のWだ。カラーシャ代表の州議員ならば、違法伐採をするSuを取り締まる立場なのに、真逆のことをやっている。気分が重くなる。

 

 ルンブール谷のカラーシャ議席はうちの村のヌーシャリが取った。彼も読み書きができないが、手先が器用でチトラール・シタール(楽器)を製作することもできるし、一番は骨接ぎの技量があることだ。転倒することが多い谷では貴重な存在で、カラーだけでなくヌーリスタン人もグジュール人も骨折や捻挫した際はヌーシャリの元にやってくる。

 

 しかし、総人口(ムスリムも含めて)2000人に満たないルンブール谷のカラーシャ議席の議員になったからといって、大した権限があるとは思えない。麓の町アユーンのユニオン議会で、カラーシャ共同体に必要な事業を訴えて予算を取れればいいのだが、大きな事業は期待できないだろう。それなのに、大したことない議席をとっただけなのに、投票日の翌日はヌーシャリの家は谷じゅうから人々がお祝い駆けつけ、牛が2頭も犠牲にされて、大鍋で肉汁ご飯が炊かれ、みんなで饗応。笛と缶(太鼓の代わり)の伴奏で若者たちが徹夜で踊りを繰り広げるお祭りとなった。その後も、ビリール谷やボンボレット谷からも祝いの人々が駆けつけている。

 

 パキスタンの隣国イラン、その隣のトルコの国の黒海を挟んだ対岸にあるウクライナではロシアの侵略戦争で、毎日酷い殺戮や破壊が起こっているのに比べれば、カラーシャ谷は何と平和だろうと感謝しなくてはならない。ここではウクライナのニュースは知らない人が多い。知ってる人も遠い世界の出来事と思っているようだ。隣の国のアフガニスタンの内戦時でさえ、平穏なチトラール地方ではあさっての世界だったから。気になって毎日ウクライナ戦争関係のニュースを見て落ち込んでいる私もパソコンを閉じて、畑作業でもしたほうが良いかもしれない。でもねー、21世紀の地球住民の私たち、このままでいいのかね。

 

STOP WAR! 

GIVE PEACE ACHANCE!