浄めの儀礼/ Purification rite

 村の夢占いおばさんの「各家の屋根を浄めなさい」との通達により、各家では夕飯時に小麦粉の平たいパンを焼き、そのパンをちぎって、チーズ、バター、あるいはミルクと一緒に、家の中のジェシタック女神聖域に捧げた。屋根上では、煙突近くにヒイラギの枝葉を置いて火を付け、両手を腕まで洗った少年がその火にミルクを捧げ、そばで男たちが祈願の言葉を唱えた。

 

ついでに私のカメラについて/ Talk about my camera

 

  世の中今やフィルム・カメラはデジタル・カメラに取って代わりすっかり姿を消してしまった。私のフィルム・カメラも20数年前に一時帰国する際にヤシールに預けたまま、それすら忘れてしまい全く使ってない。さらに16年前に人工股関節の手術を受けて、お医者さんから重い荷物を持たないように言われたこともあり、それ以来軽くて小さいショルダーバッグにすっと出し入れできるアマチュア向けのデジカメを使うようになった。

 

 最初は弟が使ったお古のデジカメを使ってみたが、意外にも使いやすく画像もそんなに悪くなくて、ブログアップや報告レター用の写真には十分だとわかった。(もちろん写真展や写真集には通用しないだろうけど)それ以来、4、5台のデジカメを使ってきたが、驚くのは寿命が短いことである。3年持つか持たないところだ。昔のように数を撮らなくなったのにである。

 

 2019年秋に買ったキャノンのパワーショットはなかなか気に入っていたが、3年目でいつの間にかレンズの真ん中にキズができ、画像にも白く写りこむようになった。それでも、2022年秋に一時帰国した際に買い換えようと思って、騙し騙しで使っていた。一時帰国して、ネットで値段を調べたら、2019年は確か6万円前後だったのに、9万円ぐらいに値上がりしていたので、躊躇しているうちに時間が経っていった。

 

 今年1月だったか、フェイスブックにソニーの10万円ぐらいするカメラがセール9000円弱で売り出していた。そんな破格の価格、おかしいと思いはしたが、1月は、承認されていた草の根援助プロジェクトの件で、パキスタン政府から新しく書類を提出せねばならない(日本にいる身としては無理)、新しいクレジットカードのネット上の使い方が理解できない、前々からコンファームしていた航空券についてのトラブル、などなど問題だらけで脳みそが爆発寸前になっていたので、深く考えられずに、きっとキズ物だから超破格の値段なんだろうと思って、お金を振り込んでしまった。

 

 もちろん詐欺だった。中国からの詐欺だったようだ。そういうことで、予定のキャノンのパワーショットも買わずにパキスタンに戻ってきた。しばらくレンズのキズを抱えたまま使いはしていたが、戸棚に眠っていた10年前に買った安いオリンパスのデジカメを思い出して、この前からこれを使っている。パワーショットのようにはいかないが、仕方がない。

 

 元カメラウーマンがこんなカメラ状況なのに、カラーシャ谷を訪れるツーリストたちはものすごくでっかくて高価そうなデジタル一眼レフカメラを下げてうろついている。重くて持ち歩きに苦そうなので、欲しいとは思わないが、何だか笑ってしまうよ。

 

 ということで、最近の写真は10年かもっと前のオリンパスのデジカメで撮ったものでございます。