夏のお客様 / My Guests During this Summer

  この夏、正確には7月終わりから8月中旬にかけて、3組のお客様が私の暮らすルンブール谷バラングル村を訪ねて下さった。1組目の平出さん、中島さん、和田さんの報告は前回にアップしてある。

  8月6日、カラーシャ谷4度目の浦島ひなこさんが、栃木県の登山仲間5人をお連れになって、パキスタン北部の登山の後にお寄りになった。

  せっかく自由時間が丸1日あるからと、夫の家族の夏の畑&家がある支流谷サンドリガーに行こうということになり、私も恐る恐る同行した。というのは、先月の雨による土砂崩れで沢道が壊れて、人工股関節のハンディキャップがある私には無理、危ないと村の人たちに言われていたからだ。でも、夏の間サンドリガーに住んでいるカラーシャたちは行ったり来たりしているから、それほどではないかもしれないとも思った。女性も背負い籠に薪や荷物を背負って下りて来るし。

   登山の方々はもちろんサクサクと歩かれる。しかし最近あまり歩いてない私は、沢の道に入ったとたん、ぶひゃあと汗が吹き出して眼鏡がかすみ、楽しい気分からはどんどん遠くなっていく。そのうち、お腹の調子がへんになり、いわゆるガスというのかおならというのか、そいつが出そうになり、でも同行の方々が一緒なので、がまんする。どうも前夜に飲んだワインと焼酎とウイスキーのちゃんぽんでお腹が緩んでいたのに、出かける時ばたついていて用を足さずに来たのがいけなかった。

     どうもこれ以上我慢するが不可能だと悟り、私の警護ポリス(村のカラーシャ)に、「どっかしゃがんでトイレするところはないだろうか」ときくが、沢に下りるのも、上に上がるのも私には急斜過ぎて無理と首をふる。もう万事休す。登山家ご一行は上に行って見えなくなっていたので、護衛ポリスに「あんたも上に行って人が来ないよう見張っといて」と言い放ち、そのまま道の多少へこんだところにしゃがんだのであった。裾の長い服とショールでカバーでき、泥土を被せて証拠隠滅はしといたが、久しぶりの青空トイレで緊張した。まったく、いつ何時予期せねことが起こるかわかったもんじゃない。

   と、どうでもよい話をしてしまったが、2時間かけて着いた家族の畑地の芝生は、いつ行っても桃源郷だ。周りの木々はアンズ、りんご、桑の実ばかり。目の前のトウモロコシ畑の向こうには、かすかに雪を残す標高45000メートルの山々がみえ、妖精の女王が住むというバウック湖につながる。

   ご一行は 家族がだしてくれた山羊のチーズ、青豆ソテーにトウモロコシパン、そしてアンズやりんごのランチを食べて(私は腹の大事をとって食べなんだ)、リラックスされていた。下りがさらに苦手な私は、どうなることやらと心配だったが、警護のポリスが手を取って助けてくれたので無事村までたどり着くことができた。翌日か2日後に必ず足に筋肉痛が発生すると思っていたが、起こらずじまい。あんなに足ガクガクだったのに不思議。

    ご一行のみなさんもサンドリガー歩きは喜んでおられた様子で、私もご一緒させてもらってよかった。そうでなければ、今年も行けてなかったかもしれない。